「こんにちわ! お元気?」
養護施設に入っている100歳のお婆さんを訪ねた。
お部屋のドアを開けると横になっておられた。
「お昼寝なの? 眠い?」そう言いながら、トントンと体に触ると目を開けた。
「眠いならそのままで私は失礼するから・・」
おばさんはしょぼしょぼした目で 「あ~!どうしているかと思ってたよ。来てくれてありがとう。」
「あんたが来ると元気が出るよ!何時も綺麗だねぇ~!」
私は自分を勢い付けるために、少し派手な服を着て行く。
ネックレスやイヤリングも付けて行くが、それが綺麗に見えるらしい。
嬉しいけど、幾つになっても女性は女性なのだと知らされた。
「あんたが帰った後には、じっとしてはいられなくなり部屋の中を変えたり、動きまわったりするよ。」
横になってテレビだけをじっと見ておられる自分を、鼓舞されたのかもしれない。
同じフロアーの人達ともあまり会ったり、話したりされないようだ。
女の人はうるさいからだそうだ。
お婆さんは、体を起こして娘さんや息子さんの話を始めた。
話は何時も同じで、繰り返しばかりだ。
でも私は初めて聞いたかのように「そうなの?そうなの!」と聞いている。
15分か20分ぐらいするとだんだん疲れてこられる。
「私はもう100歳だ!こんなに生かして貰って感謝だよ。」
「それに皆からは、良い人が会いに来てくれていいねって言われるよ。」とにこにことされた。
傾聴ボランティアの人は私だけではない。他の人も来てると思うがいつの間にか私の名前を覚えて、そう言ってもらえると嬉しいものだ。
やはり100歳の方はそれだけ偉い。人を喜ばせる事もご存じだ。
しかも感謝を持って生きておられる。
「忙しいのに来てもらってありがとう!」 深くお辞儀をされる。
この挨拶が出たら、私はそろそろ帰る事にしている。
「じゃぁ~。また来ますね!お元気でね!」
「うん ありがとう!」
別れの時にはやはりさびしい。この次も会えるかなとちょっと心配になる。
ずっとお元気で有ってほしいものだ。