「お姉さま、お兄様の電話番号を教えてください。」と義妹が電話をしてきた。
何だか慌てているので「どうしたの?」と聞くと「主人が倒れて蘇生しています。」と言う。
蘇生とはただならぬこと。「蘇生?」と聞き直したが「はい。今お部屋は換わりましたが。」と言う。
部屋が換わったと云うなら心臓は動きだしたと思う。
だがそのあとの事は分からないと言う。
私は結果が分かってからでも良いと思ったが、救急で運ばれた病院に出掛けて行くことにした。
2時間車を走らせたが,その間出血でどの部分がマヒを起こしているのか、そればかりを心配していた。
しかし病室に行って驚いた。
呼びかけても呼びかけても目を開けることも無く、返事するでもない。
人口呼吸器や心電図や点滴やと体に色々な物をつけて、ひたすら横になっているだけだった。
聞けば手術はもう出来ないほど出血がひどいらしい。
時折自分で呼吸するらしく計器に腺が現れる。
呼びかけると何だかその線が長くなるような気がする。
脳の余ったところが少しでも生きないかと大きな声で呼びかけた。
しかし呼んでも呼んでも表情は変わらない。
何故か私が呼ぶと計器の方が音を立てる。まるで弟が返事をしているかのようだ。当然錯覚だろうが・・。
弟の子供たちも孫達も皆家族がそろった。兄弟も見舞った。
倒れてから10時間で弟は亡くなった。
あまりに急に死んでしまうと、何が何だか分からない。ただただボーっとしてしまう。
弟よ!安らかに休んで下さい!